体調の悪い人が風邪を引きやすいように、人によってはうつ病が生涯にわたって再発することがあります。 うつ病を改善し、その再発を抑えるためには、体を動かすことが効果的です。 今日は、運動がうつ病の治療にどのような効果をもたらすか、確認してみましょう。
運動でうつ病を改善する原因
運動は、うつ病の有効な治療法として英国の保健当局が推奨しています。 23の研究のシステマティックレビューによると、身体活動はうつ病の治療において「実質的な臨床効果」があります。そして、運動はストレスによるうつ病を有意に改善することが示されました。
どのような脳のメカニズムが働いているのかを理解するために、科学者はマウスを使った実験を行いました。
まず、私たちが運動をすると、手足の筋肉からPGC-1a1というタンパク質が分泌されることを科学者たちは知っていました。 そこで科学者たちは、一部のマウスの遺伝子を編集し、筋肉にPGC-1a1タンパク質を特に多く発現させるようにしました。
この遺伝子改変マウスと普通のマウスを、周囲が騒がしく、光が常に点滅し、マウスが非常に不規則に動くという、かなり乱れた環境に置いました。
この慢性的なストレスを5週間続けると、普通のマウスはうつ状態になりました。しかし、PGC-1a1タンパク質の遺伝子が編集された変異マウスは、うつ状態の症状もなく、明るい気分でいた。
PGC-1a1 タンパク質はその中でどのような役割を果たしますか?
さらに研究を進めると、筋肉内の PGC-1a1 タンパク質が増えるほど、KAT と呼ばれる酵素の量が増えることがわかりました。
動物はストレス下でキヌレンを放出しますが、精神疾患のある人はキヌレンのレベルが高くなります。 そして、KATはスカベンジャーとして働き、キヌレンを脳に入ることができないキヌル酸に変換するのを助け、体と脳の解毒を助けます。 したがって、有酸素運動が体にもたらす利点の一部は、その解毒効果によるものである可能性があります。
うつ病の改善に最も効果的な運動は?
カリフォルニア大学デービス校の別の研究によると、30分～1時間程度の激しい運動は、脳内の神経伝達物質であるグルタミン酸とGABAの濃度を有意に高めることがわかりました。 グルタミン酸とGABAは、脳内で最も一般的な神経伝達物質で、脳内のニューロン間の信号の伝達に重要な役割を果たします。 運動後にこの2つの神経伝達物質が脳内で増加することも、運動がうつ病を治療できる理由と考えられます。 運動による神経伝達物質増加作用は、1週間以上でも非常に長く続きます。
有酸素運動は、うつ病を治療するだけでなく、うつ病を予防する効果もあります。 ごく少量の運動（1日20分のウォーキングや20分のガーデニングなど）でも、うつ病の予防に大きな効果があり、年齢に関係なく効果的です。
ロッククライミングも、うつ病の改善に効果があるようです。 8週間、週3時間のロッククライミングを行ったところ、うつ病の人は症状が大幅に軽減されたそうです。
特にロッククライミングは、うつ病の人の反芻思考を改善するのに有効です。 反芻思考とは、うつ病の典型的な症状で、頭の中でネガティブなことを考え、ネガティブな感情に深く沈んでしまうことが多いのです。 ロッククライミングでは、落ちないように登るためのステップや経験に全神経を集中させる必要があるため、思考を反芻する時間があまりなく、うつ病の反芻思考を自然に中断させることができます。 また、ロッククライミングは、うつ病の人にひどく欠けている自己効力感（ピッチを登りきったという達成感）を高め、他のクライマーとの社会的交流を促進します。